
暑さが厳しくなる韓国の夏。そんな季節に無性に食べたくなる韓国グルメといえば、冷たいスープとのど越しのよい麺を楽しめる「冷麺(냉면/ネンミョン)」です。
日本では焼肉を食べたあとの締めとして注文するイメージが強い冷麺ですが、韓国では冷麺そのものを目的に専門店を訪れる人も多く、夏になると人気店の前に長い行列ができることも珍しくありません。
なかでもソウルには、数十年にわたって味を守り続けてきた老舗から、伝統的な冷麺を現代的に再解釈した新しい専門店まで、個性豊かなお店が集まっています。
澄んだ肉のスープとそば粉の香りを楽しむ平壌冷麺、弾力の強い麺に甘辛いタレを絡める咸興冷麺、刺身をのせたフェ冷麺など、ひと口に冷麺といっても味や食感はさまざま。
今回は、夏の韓国旅行で訪れたいソウルの絶品冷麺店を厳選してご紹介します。
韓国冷麺とは?
韓国語で冷麺は「냉면(ネンミョン)」といいます。
朝鮮半島北部をルーツに持つ麺料理で、冷たいスープに麺を入れる「水冷麺(물냉면/ムルネンミョン)」と、辛いタレを絡める「ビビン冷麺(비빔냉면/ビビンネンミョン)」が代表的です。
さらに、地域や製麺方法によって「平壌冷麺」と「咸興冷麺」に大きく分けられます。
平壌冷麺(평양냉면/ピョンヤンネンミョン)
平壌冷麺は、北朝鮮の平壌地域に由来する冷麺です。
そば粉を中心に作った比較的やわらかく切れやすい麺と、牛肉や豚肉などから取った澄んだスープを組み合わせるのが特徴。店によっては肉のスープに大根の水キムチ「トンチミ」の汁を加えることもあります。
見た目も味わいも非常にシンプルで、初めて食べると「味が薄い」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、スープを飲み進めるうちに肉の旨みやそばの香り、ほのかな塩味が重なり、徐々にその奥深さが感じられるようになります。
韓国では平壌冷麺を食べ歩き、それぞれの店のスープや麺の違いを比較する愛好家も多く、「平冷(평냉/ピョンネン)」という略称で親しまれています。
咸興冷麺(함흥냉면/ハムンネンミョン)
咸興冷麺は、朝鮮半島北東部の咸興地域にルーツを持つ冷麺です。
そば粉を多く使う平壌冷麺とは異なり、じゃがいもやさつまいもなどのでんぷんを使った、細く弾力の強い麺が特徴です。
コチュジャンをベースにした甘辛いタレを絡めるビビン冷麺や、エイなどの刺身をのせたフェ冷麺として食べられることが多く、しっかりとした味付けが好きな方に向いています。
麺の弾力が非常に強いため、韓国では提供時に店員がハサミで切ってくれることもあります。
初心者はどの冷麺を選ぶ?
平壌冷麺と咸興冷麺では、味も食感も大きく異なります。
肉の旨みを生かしたあっさりスープや、そばの香りを楽しみたい方には平壌冷麺がおすすめです。
一方で、辛い料理が好きな方や、もちもち・コシの強い麺が好きな方には咸興冷麺やビビン冷麺が向いています。
ソウルで食べたい絶品冷麺店
1.又来屋(ウレオク/우래옥)


店名:又来屋(우래옥/Woo Lae Oak)
住所:ソウル特別市中区昌慶宮路62-29(서울특별시 중구 창경궁로 62-29)
最寄り駅:地下鉄2号線・5号線「乙支路4街駅」周辺
営業時間:11:30~21:00
定休日:月曜日
ソウルを代表する平壌冷麺の名店として、まず名前が挙がるのが「又来屋(ウレオク)」です。
1946年に創業した老舗で、2026年版ミシュランガイドでもビブグルマンに選出されています。ソウルの平壌冷麺文化を語るうえで欠かせない存在であり、韓国人だけでなく海外から訪れる観光客にも広く知られています。
又来屋の大きな特徴は、韓牛の前脚肉を長時間煮込んで作るスープです。
味付けには塩と醤油のみを使い、韓牛から引き出した旨みを生かしていて、一般的な平壌冷麺よりも肉の香りとコクを感じやすく、初めて平壌冷麺を食べる方にも比較的挑戦しやすい一杯です。
麺の上には、薄切りの肉、きゅうり、白菜などが盛り付けられています。まずは調味料を加えず、そのままスープを数口飲んでみるのがおすすめです。
又来屋では、冷麺と一緒にプルコギを注文する食べ方も有名です。甘辛く焼いた肉を味わったあとに、すっきりとした冷麺を食べることで、より一層スープの清涼感が引き立ちます。
夏の昼どきや週末は待ち時間が長くなることがあります。時間に余裕を持って訪問するのがおすすめです。
2.乙密台(ウルミルデ/을밀대)

店名:乙密台 本店(을밀대 본점)
住所:ソウル特別市麻浦区崇文キル24(서울특별시 마포구 숭문길 24)
最寄り駅:地下鉄6号線「大興駅」2番出口から徒歩圏内
営業時間:11:00~22:00前後
麻浦エリアを代表する平壌冷麺店が「乙密台」!
店名は、北朝鮮・平壌にある歴史的な楼閣「乙密台」に由来していて、平壌冷麺の名店として長い歴史を持つ店舗です。
乙密台の冷麺は、一般的な平壌冷麺よりも麺がやや太く、しっかりとした食感があるのが特徴です。
スープには薄く氷が浮かび、暑い夏にぴったりのひんやりとした口当たり。肉の旨みが比較的濃く感じられるため、淡泊すぎる平壌冷麺が苦手な方にもおすすめです。
また、乙密台では冷麺だけでなく「緑豆チヂミ(녹두전/ノクトゥジョン)」も人気です。
豚肉をたっぷり入れて香ばしく焼いた緑豆チヂミは、冷たい冷麺との相性も抜群。複数人で訪れる場合は、冷麺と一緒にシェアするのがおすすめです。
昔ながらの建物と路地に沿って客席が広がる独特の雰囲気も、乙密台本店ならではの魅力。観光地化された店舗とはひと味違う、ソウルの老舗らしい空気を感じられます。
3.筆洞麺屋(ピルドンミョノク/필동면옥)


店名:筆洞麺屋(필동면옥)
住所:ソウル特別市中区西厓路26(서울특별시 중구 서애로 26)
最寄り駅:地下鉄3号線・4号線「忠武路駅」1番出口から徒歩圏内
営業時間:11:00~15:00/17:00~20:00前後
「筆洞麺屋」は、ソウル・忠武路エリアにある平壌冷麺の名店です。
議政府系の平壌冷麺を受け継ぐ店として知られ、長年にたり多くの冷麺ファンから支持されており、2026年版ミシュランガイドにも冷麺店として掲載されています。筆洞麺屋の冷麺は、透明感のあるスープと、そばの風味が感じられる麺が特徴です。
又来屋のように肉の味が前面に出るタイプとは異なり、豚肉や牛肉の風味が静かに広がる、繊細で淡い味わい。平壌冷麺らしい素朴な魅力をじっくり楽しめます。
冷麺の上には、ゆで豚、牛肉、ゆで卵、ねぎなどがのせられており、特に厚みのある豚肉は筆洞麺屋を象徴するトッピングのひとつです。
単品料理では「チェユク(제육)」も人気です。
韓国語のチェユクは辛い豚肉炒めを指す場合もありますが、平壌冷麺店では薄切りのゆで豚を意味します。冷たい麺とやわらかな豚肉を交互に食べるのが、平壌冷麺好きに人気の楽しみ方です。
店内は昔ながらの大衆食堂らしい雰囲気で、観光客向けに過度にアレンジされていない本格的な冷麺を味わえます。
4.平壌麺屋(ピョンヤンミョノク/평양면옥)


店名:平壌麺屋(평양면옥)
住所:ソウル特別市中区奨忠壇路207(서울특별시 중구 장충단로 207)
最寄り駅:地下鉄3号線「東大入口駅」2番出口から徒歩圏内
営業時間:11:00~21:30前後
定休日:月曜日
東大門や奨忠洞エリアからアクセスしやすい老舗冷麺店が「平壌麺屋」です。
三代にわたって平壌冷麺を提供してきた歴史ある店として、ミシュランガイドにも掲載されています。透明度の高いスープ、穏やかな肉の旨み、そばの香りが感じられる麺が特徴です。
スープは非常に淡く、平壌冷麺らしい控えめな味わい。
濃い味付けの料理に慣れていると、最初は物足りなく感じるかもしれませんが、麺をすすりながらスープを飲むことで、肉の香りとそばの風味が徐々に感じられます。
冷麺のほか、具材をたっぷり包んだ北方式のマンドゥや、薄切りのスユクも人気です。ミシュランガイドでは、キムチを入れずにさまざまな具材を詰めたマンドゥと、薄く切ったスユクも人気!
東大門でショッピングを楽しんだあとや、奨忠体育館、東国大学周辺を訪れる際にも立ち寄りやすい店舗です。
5.晋美平壌冷麺(チンミピョンヤンネンミョン/진미평양냉면)


店名:晋美平壌冷麺(진미평양냉면)
住所:ソウル特別市江南区鶴洞路305-3(서울특별시 강남구 학동로 305-3)
最寄り駅:地下鉄7号線・水仁盆唐線「江南区庁駅」3番出口から徒歩圏内
営業時間:11:00~21:30前後
江南エリアで本格的な平壌冷麺を食べたい方におすすめなのが「晋美平壌冷麺」です。
店主は有名平壌冷麺店で約20年にわたって経験を積み、その技術をもとに晋美平壌冷麺を開いたとミシュランガイドで紹介されています。2026年版のミシュランガイドにも掲載されている人気店です。
スープは肉の旨みを感じながらも、後味はすっきり。
麺はそばの香りがあり、スープとのバランスがよく、昔ながらの平壌冷麺の魅力を守りつつも、多くの人が食べやすい一杯に仕上げられています。
冷麺と一緒に注文したいのが、ゆで豚の「チェユク」です。
自家製ソースと大根の漬物を添えて提供され、半皿でも注文できるため、一人でも楽しみやすいのが嬉しいポイント♡
ほかにも、牛肉のスユク、マンドゥ、魚の蒸し物など、北朝鮮地域の食文化を感じられる料理が用意されています。
江南区庁駅からアクセスしやすく、狎鴎亭や清潭洞でのショッピングと組み合わせやすいのも魅力です。
6.瑞令(ソリョン/서령)

店名:瑞令(서령)
住所:ソウル特別市中区小公路6キル13(서울특별시 중구 소공로6길 13)
最寄り駅:地下鉄4号線「会賢駅」周辺
営業時間:11:00~21:00
昔ながらの冷麺文化を大切にしながら、現代的で洗練された一杯を提供する店として注目されているのが「瑞令」です。
伝統的な老舗とは異なる、新世代の平壌冷麺店として人気を集めており、2025年に続いて2026年版ミシュランガイドにも選出されています。
瑞令の特徴は、上品で透明感のあるスープと、そばの風味を生かした自家製麺。
平壌冷麺らしい繊細さを持ちながら、肉の旨みや塩味の輪郭が比較的分かりやすく、初めての方にも食べやすい味わいです。
「平壌冷麺は味が薄そう」「上級者向けの料理に感じる」という方でも挑戦しやすく、昔ながらの冷麺を現代的な感覚で楽しめる店といえるでしょう。
以前は仁川・江華島の冷麺店として知られていましたが、ソウルへ移転しました。
7.奉密家(ポンミルガ/봉밀가)

店名:奉密家(봉밀가)
住所:ソウル特別市江南区宣陵路664 建設ビル1階(서울특별시 강남구 선릉로 664 건설빌딩 1층)
最寄り駅:地下鉄7号線・水仁盆唐線「江南区庁駅」から徒歩圏内
伝統的な平壌冷麺に、店主独自の素材選びと調理法を取り入れた人気店が「奉密家」です。
2014年にオープンし、そば麺に強いこだわりを持つ店主が、手間のかかる仕込みを惜しまず料理を作っている店としてミシュランガイドで紹介されています。
奉密家のスープは、韓牛と韓方素材を約5時間煮込んで作られています。
澄んだ見た目ながら香ばしさとコクがあり、コンソメのようにすっきりとした風味が味わえる!
麺を小皿に取り分け、梨酢とからしを少量加え、チェユクと一緒に食べる方法もおすすめされています。
昔ながらの平壌冷麺をそのまま再現するのではなく、素材や食べ方に店独自の工夫が加えられているため、老舗の冷麺と食べ比べてみるのもおすすめです。
8.オジャンドン興南家(オジャンドン・フンナムチプ/오장동흥남집)


店名:オジャンドン興南家 本店(오장동흥남집 본점)
住所:ソウル特別市中区マルンネ路114(서울특별시 중구 마른내로 114)
最寄り駅:地下鉄2号線・4号線・5号線「東大門歴史文化公園駅」から徒歩約5分
営業時間:11:00~20:30
定休日:水曜日、旧正月・秋夕など
平壌冷麺とは異なる、辛くて弾力のある咸興冷麺を食べたい方におすすめなのが「オジャンドン興南家」です。
ソウル中区の「五壮洞咸興冷麺通り」を代表する老舗で、でんぷんを使った細くコシの強い麺と、甘辛いヤンニョムを組み合わせた冷麺を楽しめます。
赤く辛そうな見た目ですが、辛味だけでなく甘味や酸味、魚の旨みが重なり、食欲を刺激する味わい。もちもちというよりも、強い弾力とコシがある麺で、平壌冷麺とはまったく異なる食感を楽しめます。
辛さが苦手な方には、水冷麺や肉をのせたビビン冷麺もおすすめです。
韓国で冷麺をもっとおいしく食べる方法
最初から酢やからしを入れすぎない
韓国の冷麺店では、テーブルに酢やからしが用意されていることが多くあります。
ただし、特に平壌冷麺はスープそのものの繊細な味を楽しむ料理です。最初から大量の酢やからしを加えてしまうと、肉の旨みやそばの香りが分かりにくくなります。
まずは何も加えずにスープを飲み、その後、好みに合わせて少しずつ調味料を加えるのがおすすめです。
麺を切るかどうかは種類によって判断する
でんぷんを使った咸興冷麺は非常に弾力が強いため、ハサミで切ると食べやすくなります。
一方、そば粉を多く使う平壌冷麺の麺は比較的切れやすく、ハサミを使わなくても食べられる場合がほとんどです。
店員がハサミを持ってきても、すぐに切らず、まずは麺の食感を確かめてみるとよいでしょう。
スユクやチェユクと一緒に楽しむ
平壌冷麺店では、冷麺と一緒にスユクやチェユクを注文する人も多くいます。
スユクは牛肉や豚肉をゆでた料理、平壌冷麺店でいうチェユクは主にゆで豚を指します。
肉料理を食べたあとに冷たいスープを飲むと、口の中がさっぱりと整います。2人以上で訪れる場合は、肉料理をシェアしながら冷麺を楽しむのがおすすめです。
冷麺店で出される温かいスープにも注目
咸興冷麺店では、冷麺が出てくる前に温かい肉のスープが提供されることがあります。
冷たい麺を食べる前後に温かいスープを飲むことで、胃を冷やしすぎず、味の変化も楽しめます。
店によってスープの濃さや香りが異なるため、冷麺だけでなく最初に出されるスープも味わってみてください。
まとめ
韓国の冷麺は、単に冷たい麺を食べるだけの料理ではありません。
肉の旨みを丁寧に引き出したスープ、そば粉やでんぷんを使い分けた麺、店ごとに異なるトッピングや調味料など、一杯の中にそれぞれの店の歴史とこだわりが詰まっています。
暑い夏に韓国を訪れるなら、冷房の効いた店内でキンキンに冷えた冷麺を味わってみてはいかがでしょうか🎐
老舗と最新店を食べ比べながら、自分好みの絶品冷麺を見つけてみてくださいね♡



